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『夜、灯す』レビュー|百合×ホラーの枠に収まらない青春ノベルゲーム【評価・感想】

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『夜、灯す』評価・レビュー

とある女学園に、お互いの一番大切な物を分かち合うことで姉妹の契を交わそうとした二人の少女がいた。

少女たちは周囲に無理矢理引き離されそうになり、心中を企てた。

死後、品物は元の持ち主の亡骸と共に戻され、無念の死を遂げた少女は校舎をさまよっているという……。

『夜、灯す』評価・レビュー(タイトル画面)

『夜、灯す』はホラーアドベンチャーゲームだ。

学園に伝わる怪談と、それに翻弄される少女たちのひと夏の物語を描いている。

主要な登場人物は全て女子高校生であり、その中には単なる友情を越えた憧れや恋愛感情に近い、いわゆる「百合」関係が存在する。

しかし、メインテーマは「百合」や「ホラー」より、むしろ、友達に全力でぶつかっていく青春ドラマのように感じた。

本記事では『夜、灯す』のあらすじやヒロインを紹介した後、ゲーム内容をレビューしていく。

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核心に迫るネタバレがないようにレビューするが、序盤など一部ネタバレの可能性がある。
また、ショッキングな描写を含む。

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執筆者

えむ

ギャルとホラーを愛する百合ライター。あまーい作品も好きだけど、シリアスで苦味のある作品はもっと好き。百合漫画ガイド「ゆりりかる漫画部」、百合音声・ASMR作品専門メディア「ゆりりかるボイス部」も運営中。

X (旧Twitter) > 詳しいプロフィール >

執筆者

えむ

ギャルとホラーを愛する百合ライター。あまーい作品も好きだけど、シリアスで苦味のある作品はもっと好き。百合漫画ガイド「ゆりりかる漫画部」、百合音声・ASMR作品専門メディア「ゆりりかるボイス部」も運営中。

X (旧Twitter) 詳しいプロフィール

あらすじ

『夜、灯す』評価・レビュー(筝曲部)

十六夜鈴は筝曲部の友人たちと共に高筝大会に向けて日々練習に励んでいた。

そこへ筝の世界では有名な皇流宗家の娘・有華が転入し、部の一員として加わることになる。

鈴は入部早々部員たちと対立した有華の間を取り持とうとする。

そのさなか、大会で一緒に演奏するはずだった部長が旧校舎から転落してしまう。部長の手にはある少女からの手紙が握られていて……。

登場人物紹介

十六夜 鈴(いざよいすず)

『夜、灯す』評価・レビュー(十六夜 鈴)
十六夜 鈴(CV.長野 佑紀)

十六夜 鈴(CV.長野 佑紀)は神楽原女学園高等部2年生で、筝曲部のエース。

両親が亡くなったあと、親戚にあたる尼さんに引き取られ寺で暮らしている。

明るく、みんなを引っ張っていくような性格。

皇 有華(すめらぎ ゆうか)

『夜、灯す』評価・レビュー(皇 有華)
皇 有華(CV.望月 麻衣)

皇 有華(CV.望月 麻衣)は神楽原女学園高等部に転校してきた2年生。

筝の世界では有名な皇流宗家の跡取り娘。

初めはそっけない態度であったが、鈴とのふれあいを経てみんなと打ち解けていく。

青柳 真弥(あおやぎ まや)

『夜、灯す』評価・レビュー(青柳 真弥)
青柳 真弥(CV.河野 ひより)

青柳 真弥(CV.河野 ひより)は神楽原女学園高等部2年生で、鈴の幼馴染。

鈴に思いを寄せており、お菓子作りや筝も鈴のために始めた。

引っ込み思案で、常に陰に隠れているような性格。

舞原 累(まいはら るい)

『夜、灯す』評価・レビュー(舞原 累)
舞原 累(CV.都丸 ちよ)

舞原 累(CV.都丸 ちよ)は神楽原女学園高等部2年生。

陸上をやっていたが、怪我が原因で断念。

鈴や麗子の影響で筝曲部に興味を持ち、入部を考えていたところ、部長の気遣いもあって入部した。

喧嘩っ早いが、裏表のない性格。

田鎖 麗子(たくさり れいこ)

『夜、灯す』評価・レビュー(田鎖 麗子)
田鎖 麗子(CV.大坪 由佳)

田鎖 麗子(CV.大坪 由佳)は神楽原女学園高等部2年生。

学園理事長の孫娘で、全てをそつなくこなす才女。

おっとりしているが、累の手綱を握るしっかりもの。

小夜子(さよこ)

『夜、灯す』評価・レビュー(小夜子)
小夜子(CV.東城 日沙子)

小夜子(CV.東城 日沙子)は学園の旧校舎付近に現れる少女。

鈴が見る夢に度々現れる。有華によく似ているが、正体は不明。

下級生の少女と「姉妹」の契を交わしていた。

レビュー

ホラーよりも部活&青春メインの百合シナリオ

『夜、灯す』では主に2つの謎を解き明かしていく。

  • 筝曲部の部員たち、それぞれの秘密
  • 謎の少女・小夜子にまつわる謎

有華は部室ではじめて鈴たちの演奏を聞いた時、各々の演奏に「ある違和感」を抱いた。

違和感の正体は部員たちが周りに明かしていない秘密であり、それは意図的に隠しているものもあれば、本人すら気がついていない無意識のものもある。

有華は合奏のクオリティーを上げるためにはその違和感をなくさなければならないと言い、一人一人と対話することで、部員が持つ秘密を解き明かしていく。

人付き合いが苦手な有華が、四苦八苦しながら部員たちの心の問題を理解しお互いに絆を深めていく。その様子が微笑ましい。

『夜、灯す』評価・レビュー(料理)
合宿で料理をする面々

鈴の夢を通して語られる小夜子の物語がもう一つのミステリーだ。

小夜子には「姉妹」の契を交わし、特別に目をかけていた下級生の少女がいた。

二人の百合ラブストーリーは、初めは可愛らしいものであったが、徐々に歯車が狂い悲しい結末となってしまった。小夜子がこの世に残した未練を解き明かし、成仏させようとするのが物語後半の課題となる。

選択を誤りバッドエンドに至る道にはホラー要素もあるが、ホラーがメインと言うほどでもない。

また、百合要素は確かにあるものの、イチャイチャするシーンは少ない

むしろ、音楽性を高めるために切磋琢磨する友情・部活ものの要素が最も大きい。女の子同士がキャッキャしている場面が好きな人に向いており、ホラーと百合を主目的とする人には少々肩透かしかもしれない。

シナリオはほぼ一本道でゲーム攻略の難易度は低い

『夜、灯す』は選択肢を選んでストーリーを進めていく、アドベンチャーゲームおなじみのシステムを採用している。

選択肢は極端に少なく、すべての選択肢を見てCG回収してもプレイ時間は8時間ほどと短い。

選択肢も悩むようなものは少なく、間違えると即死となるものがほとんどなので、終盤まで進んでからまたやり直しということもない。

ゲーム攻略の難易度は低めで、シナリオ分岐の少ないゲームだ。

不要なシナリオを追加しろとは思わないが、部員それぞれの境遇をもう少し細かく書いてもよかったのではないかと思う。

フルプライスのゲームとしてはプレイ時間の物足りなさを感じた。

魅力的なキャラクターデザイン・イラスト

『夜、灯す』評価・レビュー(鈴と有華)
色使いも繊細できれいだ

『夜、灯す』のキャラクターデザインを担当しているカオミン氏の描くキャラクターはどれもかわいい

元気いっぱいの絵もかわいいし、キャラクターの物憂げな表情は特に素敵だ。

ホラー要素を含んでいるため、ダークに寄ってしまうストーリーの最中でも、なにかやわらかさを感じるのはカオミン氏の美麗な絵によるところが大きい。

簡素なオプション

『夜、灯す』評価・レビュー(オプション)
『夜、灯す』のオプション画面

『夜、灯す』は必要最低限のオプションしかない。いや、必要な部分がひとつ欠けていた。

真弥は普段かなり小声でしゃべる。そのため、ボイス音量を調整しようとしたが、個別の音量調整が用意されていないため、声が聞き取りにくい状態のままプレイすることになった。

ボイス音量を上げると他のキャラクターのボイスが大きくなってしまうからだ。

ここまでボイス音量に差があるキャラクターを入れるのであれば聞き取りやすいように配慮が必要で、キャラクター個別の音量調整があればよかった。

音楽面では物足りない

筝曲部をテーマに組み込んでいるわりに筝があまりフォーカスされていない。

SEには筝の音が使用されており、筝自体を組み込もうとはしている。しかし、問題はBGMだ。

ストーリー上では鈴と有華のお互いを高め合うような演奏や、部員たちが徐々に演奏技術が上がっていくところの描写が少なく、かなり簡素に進んでしまう。

そこでBGMが役立つはずだが、収録曲も少なく、徐々に上手くなっていくような曲選びでもなかった。

いくら真剣にやって、優秀な指導者がついたとしても、短期間で劇的な成長があるのは奇跡だ。

ストーリー上でその描写を省いている分、そこにBGMでリアルさを出さなければ、荒唐無稽な絵空事で終わってしまう。

文字だけでは表現できない部分をBGMでカバーするからこそ、ゲームとして発売された意義があるのであって、文字に頼ってしまっては電子書籍と大差なくなってしまう。もったいない部分だった。

Nippon1.jp 通販限定版特典は小説が魅力的

『夜、灯す』評価・レビュー(通販限定版特典)

本作の発売を楽しみにしていた私は日本一ソフトウェア公式通販で限定版を予約した。

限定版の内容は

  • 書き下ろし小説
  • 描き下ろしイラストBOX
  • ポストカード

書き下ろし小説の冊子は前日譚後日談設定資料集を収録している。

ガッツリネタバレなので、プレイ前に読むのは厳禁だ。(ネタバレ注意の紙が入っていた)

前日譚は小夜子に出会う前の2人の女の子たちのエピソード。

あのキャラクターがなぜ《アレ》が好きなのかも書かれており、思わずクスっとなる場面もありつつ、最後にはうるっときてしまった。とても良いエピソードだった。

後日談は本編終了後にみんなで有華の実家に向かうストーリーとなっており、こちらも面白かった。

設定資料集も採用されなかったキャラクターの髪型や服装などが収録されており、これはこれでかわいいなというものもあり、興味深かった。

『夜、灯す』評価・レビュー(手帳)
書き下ろし小説は作中で有華が持っている手帳と同じデザインになっているところも良い

描き下ろしイラストBOXも小夜子、鈴と有華が描かれており、キレイでかわいい出来になっている。

総じて満足の出来であり、私は限定版を買ってよかったなーと思えた。

総合評価

『夜、灯す』評価・レビュー15
えむ

総評:良い

3.5/5

『夜、灯す』はホラー×百合のアドベンチャーゲームとされているが、選択肢は少なく、デジタルノベルとしての性質が強い。

筝曲部の部員たちに起こる怪異を通じて友情を深めていくストーリーは青春を感じさせる。

友だちとの衝突やそこから育まれる友情はほのぼのしているが、そこにホラーのスパイスが加わることでストーリーにメリハリが生まれ、より魅力的なものになっている。

総プレイ時間は約8時間と短く、音楽描写やBGMの物足りなさはゲームとしての舞台作りに寄与できておらず、せっかくのシナリオを盛り上げきれていない。

演出面では惜しいところもあるが、何より美麗でかわいらしいキャラクターデザインとそれを生かした豊富なCGはうれしい。

ホラー要素はそこまで強くないため、ホラーが苦手な人でも楽しめる。百合ゲー好きや目標に向かってみんなで協力していく青春ものが好きなプレイヤーにおすすめしたいタイトルだ。

グッドポイント
  • おもしろい青春ストーリー
  • かわいいキャラクターデザイン
ウィークポイント
  • ボリューム不足
  • 物足りないBGM

『夜、灯す』

  • 対応機種:Nintendo Switch、PlayStation 4
  • 発売日:2020年7月30日
  • メーカー:日本一ソフトウェア
  • ジャンル:ホラーアドベンチャー
  • メインシナリオ:永田たま
  • キャラクターデザイン:カオミン
  • 筆者プレイ時間:8時間
  • レビュー時のプレイ機種:PS4

※2020年8月3日時点

画像は株式会社日本一ソフトウェアの著作物です。転載、配布等は禁止いたします。

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