【まとめ】『嘘から始まる恋の夏』シリーズ完全ガイド(ゲーム・ボイスドラマ・小説)

『嘘から始まる恋の夏』は横浜を舞台に女子高生たちの恋模様を描いた百合ビジュアルノベルだ。

シナリオでは恋愛の甘い部分だけでなく、失恋や家庭問題などさまざまな苦難に立ち向かいながら成長していく姿を描く。透明感のあるイラスト、迫真の演技が光るボイスなどさまざまな面でクオリティが高く、百合ゲームのなかで重要な1作となった。

本編では語り切れなかった部分は、ボイスドラマや小説といった形で展開されている。ゲームをプレイ後にもっと作品の世界観に浸りたいと感じた人はぜひシリーズ作品にもふれて、その余韻を味わってほしい。

この記事では作品をより深く楽しむためのガイドとして『嘘から始まる恋の夏』のシリーズ作をまとめて紹介する。

ゲーム『嘘から始まる恋の夏』

女子高生の薫は片思いしていた元担任・深玲に振られてしまう。行き場のない気持ちを海に向かって発散していたところでクラスメイトの栞里に出会う。栞里から兄の想い出を上書きする手伝いを頼まれた薫は「想い出の地巡り」を通して、栞里に想いを寄せるようになる。

2人が目を背けてきた過去の問題や親との不和に向き合い、苦しさに押しつぶされそうになりながら、手を取り合って自立を目指すストーリーに心打たれる。

セリフやボイス、透明感のあるイラストなど細部までこだわりが感じられる。

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ボイスドラマ『恋、降る』

本編の前日譚にあたるボイスドラマ。

ゲーム本編の約2年前、家出した薫が担任である深玲に保護される。深玲の家で過ごし、やさしさにふれるうちに薫は恋心を抱く。

薫の家出騒動はゲーム内で詳細に語られることはない。プレイ前に『恋、降る』を聞けば、ゲームをより楽しめるし、プレイ後なら薫に対して敬語で話す深玲や、むかしの薫の初々しい姿がかわいらしく感じるはず。

LYCORIS公式通販(BOOTH)では、台本に近い形式で書かれた「嘘から始まる恋の夏 エピソード0『恋、降る』シナリオブック」も発売された。

小説『再会は透き通るような晴れの日でした』

「嘘から始まる恋の夏 エピソード0『恋、降る』シナリオブック」収録

ボイスドラマ『恋、降る』とゲーム本編の間の出来事を描いた小説。

ゲーム本編の約1年前、薫が高校に入学したばかりのころ。クラスメイトに誘われるがままカラオケへ向かった薫は場の空気感に馴染めず、みんなの輪から離れた。家に帰る気になれず、公園を歩いていると1枚の絵に目が留まる。そのうちに絵を描いた本人・深玲が現れ、2人は再会する。

薫と深玲の関係がいかにして作り上げられたのか、その1コマを切り取ったのが『再会は透き通るような晴れの日でした』だ。深玲を前にして爆発しそうな恋心にドキドキする薫と、シニカルさのなかに本音が見え隠れする深玲という珍しいシーンが微笑ましい。

小説『紆余曲折、色々あって明日がある。あとお寿司』

『嘘から始まる恋の夏』BOOTH購入特典

ゲーム本編の5話と6話の間を描いた小説。

お泊まり会が決まった日の翌日、莉久のパジャマを買いに行くことになった薫、栞里、莉久はルームウェアのお店に向かう。莉久のパジャマを買った後、回転寿司に入ると栞里が大好きなうしもちゃとコラボしていることが判明。抽選で当たるうしもちゃを求めて、食べ始める3人だったが……。

莉久のパジャマを買いに行った話はゲーム本編6話「幸せになろう」でさらっとふれられた程度だった。その模様を描いたのが『紆余曲折、色々あって明日がある。あとお寿司』だ。

パジャマを試着した莉久が2人から褒められて照れてしまうところや栞里のうしもちゃ愛など、ゲームをプレイした後に読むと3人をより愛おしく感じられる作品。

小説『朝の金木犀～2023 霜月深玲誕生日』

『嘘から始まる恋の夏』霜月深玲 描き下ろしF0キャンバスアート購入特典

ゲーム本編後を描いた小説。

深玲の誕生日を祝うため、いきつけのバーを訪れた朝日。深玲にプレゼントを渡すと、突然ドキッとする言葉を投げかけられ、心をかき乱される。

薫たちの現担任で深玲の友人でもある朝日先生。ゲーム本編でも重要な役割を担っているが、彼女の目線で物語が語られるのは新鮮だ。

表紙やまえがきを合わせて7ページの短編でありながら、その内容はとびきり濃厚。まえがきによれば、『朝の金木犀～2023 霜月深玲誕生日』は公式二次創作の立ち位置であり、if(イフ)の世界になる可能性があるそうだが、続きが今すぐにでも読みたくなる作品だ。

資料集『嘘から始まる恋の夏 Introduction Book』

LYCORIS公式通販(BOOTH)で発売

『嘘から始まる恋の夏』の入門書的な冊子。

ストーリーやキャラクター紹介などの定番情報がイラスト多めで紹介されている。ラフスケッチや一部のイベントCG、シナリオライターのAkeo氏、原画の塩こうじ氏、背景イラストの株式会社千住工房から磯辺氏、杉本氏のインタビューも収録。

ゲームをプレイする前でもクリア後でも楽しめる1冊。

物語の時系列