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『嘘から始まる恋の夏 -squall-』単行本発売記念インタビュー後編|コミカライズはこうして生まれた!全員がチームとなって制作された作品の裏側に迫る

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LYCORISが手がける百合ビジュアルノベル『嘘から始まる恋の夏』のコミカライズ『嘘から始まる恋の夏 -squall-』単行本発売を記念したインタビュー。

後半からは本作の漫画を担当した、ろここ氏にも加わっていただき、コミカライズ作品の魅力に迫っていく。

Akeo氏
Akeo

LYCORIS プロデューサー、シナリオライター、小説家。代表作は『彼女のカノジョと不純な初恋』(電撃文庫)など。

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塩こうじ氏
塩こうじ

LYCORIS イラストレーター。代表作は『君の先生でもヒロインになれますか?』(電撃文庫)、『好きな子のいもうと』(角川スニーカー文庫)など。

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ろここ氏
ろここさんアイコン

漫画家。代表作は『保健室はふたりきり』(KADOKAWA)、『嘘から始まる恋の夏 -squall-』(一迅社)など。

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聞き手・編集

えむ

ギャルとホラーを愛する百合ライター。あまーい作品も好きだけど、シリアスで苦味のある作品はもっと好き。百合漫画ガイド「ゆりりかる漫画部」、百合音声・ASMR作品専門メディア「ゆりりかるボイス部」も運営中。

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ギャルとホラーを愛する百合ライター。あまーい作品も好きだけど、シリアスで苦味のある作品はもっと好き。百合漫画ガイド「ゆりりかる漫画部」、百合音声・ASMR作品専門メディア「ゆりりかるボイス部」も運営中。

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ふたりが出会ってから心を通わせていくまでをしっかり描いて、別れの切なさまで持っていくために最終的に4話構成になりました

――『嘘から始まる恋の夏-squall-』はどのように生まれたのでしょうか?

Akeo氏(以下、Akeo):僕から百合姫編集部の方に企画を提案しました。その後、ボイスドラマ「恋、降る」をベースにやりましょうと言っていただいて、コミカライズ企画がはじまりました。

『嘘から始まる恋の夏 -squall-』
連載開始時のプレスリリースより

――どこからどこまでを描くかはAkeoさんが決めたのでしょうか?

Akeo:いえ、それは担当編集さんですね。番外編小説などもお渡ししていたので、それにプラスして完全オリジナルの話も入れましょうと話が進みました。担当編集さんにご提案いただいたものをベースにすり合わせていきました。当初は3話構成で「恋、降る」「再会は透き通るような晴れの日でした」「オリジナルの話」になる予定でした。

――3話構成だったとのことですが、実際には4話構成ですよね。

ろここ氏(以下、ろここ):もともとは2話までの内容を1話に詰め込む予定でした。一度ネームを描いてみたところ、もっとしっかり描きたい部分がたくさん出てきて、これは収まりきらないぞと思いました。

急展開にならないように、ふたりが出会ってから心を通わせていくまでをしっかり描いて、別れの切なさまで持っていくために分割することになり、最終的に4話構成になりました。

『嘘から始まる恋の夏 -squall-』
連載開始時のプレスリリースより

――LYCORISおふたりは、ろここさんがコミカライズを担当されることになったとき、どんな印象でしたか?

Akeo:すごく絵がキレイで繊細だという印象があって、この絵で物語を描いていただけるのが楽しみでした。塩こうじさんが描いたキャラクターをろここ先生に描いていただくことで、お互いの良さが出るだろうなと思いましたね。

塩こうじ氏(以下、塩こうじ):編集部の方から、何名か候補の方を挙げていただいて、ろここ先生の絵を見たときに華があるなと思いました。

Akeo:キャラクターを描いている塩こうじさんが言うなら大丈夫だろうという安心感もあって、ぜひ、ろここ先生にお願いしたいとお伝えしました。

塩こうじ:本当にキレイな絵だなと思ったのと漫画として見たときにトーンワークが映えてるなと思って。やっぱりトーンとかベタの使い方が上手い方だと絵が華やかになるし、絵がキレイだと読みたくなるので、ろここ先生に引き受けていただいて、よかったです。

『嘘から始まる恋の夏 -squall-』単行本発売記念インタビュー後編|漫画画像01

――ろここさんはいかがしょうか?

ろここ:私はコミカライズ自体初めての経験だったので、最初は自分にできるのかなって不安がありました。でも、絶対に自分がやりたいって気持ちもあって、自分を信じてお声がけしてくださったこともうれしかったですし、新しい挑戦ができるという思いもあったんです。

お話をいただいてから作品を拝見して、絵もストーリーもすごく自分に刺さって、いちファンとして純粋に「嘘夏」のことが好きになりました。個人的に原作ゲームの中で深玲が一番お気に入りのキャラだったんです。だからコミカライズの主人公が深玲だと聞いて、より自分が描きたいという気持ちが強くなりました。

チームとして作品作りができたのがすごくうれしかったです

――原作がある作品を描くなかで、制約みたいなものがあると思うのですが、そのなかで自分なりの表現をする難しさはありましたか?

ろここ:ゲーム、ボイスドラマ、漫画と表現方法が違うので、自分の作風をどうするかというよりも、まずは漫画として魅力的にしたいという思いが一番ですね。原作の良いところは崩さないで、その上で漫画ならではの魅力が伝えられるようにしました。

『嘘から始まる恋の夏 -squall-』の1、2話の内容にあたる「恋、降る」のボイスドラマは何度も繰り返し聞きましたが、それをそのまま描き写すというよりは漫画として表現をアレンジしたり、セリフを少し変えさせてもらったりしています。

もちろん担当編集さんやLYCORISさんとみんなで話し合いながら、良い部分を探っていきました。そのなかで、自分は漫画としての魅力を伝えたいなと思ってました。

Akeo:僕からも担当編集さんには漫画の読者の方々に楽しんでいただけることを一番に考えてくださいってお願いしてましたね。

ろここ:事前にそう言っていただけたのもあって、おまかせいただいた部分もあったので、自分も漫画としてこういうものがいいと思いますってお伝えできました。チームとして作品作りができたのがすごくうれしかったです。

Akeo:シナリオに「ここはこういう意味があるので残してほしいです」って書いた資料をお渡ししましたよね。

ろここ:そうですね。ここは絶対に入れてくださいって部分があって、それ以外の部分はおまかせしますということだったので、自分なりにどこを抜き取ったらいいのか、こうすれば盛り上がるなとかパズルみたいに考えながらやらせていただきました。

Akeo:最初にお渡ししたシナリオが、ネームの分量で言うと3倍ぐらいの文章量が書いてあって、ごめんなさいって思いつつ……。でも、読んだときに本当に違和感がなかったのですごいなと思いました。

ネームを見たときに芯がある人なんだなって思ったんですよね。ちゃんとした軸があって、取捨選択してくださっている印象がありました。入れてくださいってお願いした部分の前後の流れでストーリーが全然違うものになることもあります。その流れを大切にしてくださって、ろここ先生のなかでこうしたらおもしろくなるっていう確固たるものがあるからこそ、良い作品に仕上がったんだろうなと思いました。

――塩こうじさんは自分のイラストが漫画になったときはどんな印象でしたか?

塩こうじ:自分が描いたキャラクターをろここ先生のキレイな絵で見るのが楽しかったです。髪の毛のサラサラ感とか繊細なタッチがすごくいいなと思いました。

――ろここさんは塩こうじさんのイラストをベースに漫画を描く形になりましたが、難しさはありましたか?

ろここ:塩こうじ先生のイラストを資料として拝見しながら描いていたんですけど、この透明感があって、瑞々しい絵柄を自分が100%真似しようと思っても、やっぱり塩こうじ先生にしか描けないものなんです。でも、かけ離れすぎたものを描いてキャラクターとして理解できなくなるのは避けたい。その悩みとは常に戦っていました。

特に漫画はたくさん絵を描かなければいけないし、ある程度自分の描きやすい絵柄に落とし込めるかの勝負というところもあって、自分のなかでそこが難しいポイントでした。

ページ数に限りがあるなかで、深玲を深く知ってもらうには、深玲視点で書くのが一番ストレートに伝わるかなと思いました

――3話の途中までの話はすでにボイスドラマや小説で描かれていたと思います。今回その先を描こうと思ったのにはどんな理由がありますか?

Akeo:連載で楽しめることを重視したいと考えたなかで、たとえば3話のままで終わっちゃったら、深玲がなにを考えているのかわからない人になりかねない。だからこそ、薫と深玲が一歩踏み出せないところがあるんだよってしっかり描かないと、と思ってました。

4話で深玲のダメさが加速するところもあって、出すのがちょっと怖いなと思ったところもあるんですけど、ろここ先生が3話までをしっかり描いてくれたからこそ、4話が納得感のあるものとして受け取ってもらえたんじゃないかと思います。4話の結末は何度か変えてるんですよね?

ろここ:ギリギリまで調整していただいて、最後に付け足したりして、頑張った結果、より良いものになったと思っているので、そこは自信を持ってお届けしたいですね。

――今まで発表された小説などでは、深玲の視点で物語を紡ぐことを意図的に避けていたように思います。今回はついに深玲の内面が描かれることになりましたね。

Akeo:この4話で深玲を一番深く描きたかったんですよね。ページ数に限りがあるなかで、深玲を深く知ってもらうには、深玲視点で書くのが一番ストレートに伝わるかなと思いましたね。漫画という媒体ならではだとも思っています。

『嘘から始まる恋の夏 -squall-』単行本発売記念インタビュー後編|漫画画像02

ろここ:3話の最後までずっと薫視点で物語が進んできて、私もずっと薫の気持ちが読者に伝わるように考えながら描いてました。そのなかで、深玲をあえてわからせないように、心のなかを見せないようにしている部分もあります。

3話でキスするシーンでは大人のかわし方で薫の一歩上をいってる感じで、動揺している姿は薫に見せない。だけど、ラストシーンで深玲視点のモノローグが入ることで、深玲も揺さぶられてるんだってことがわかるんですね。

自分で描いていて、深玲の行動の裏側にはこういう気持ちがあったって理解が深まったし、より深玲のことが好きになりました。

――ろここさんの過去作と比べて、今回は部屋の照明だったり、窓だったりと顔を外したコマが多い印象がありました。演出としてのこだわりでしょうか?

ろここ:最初にネームを描いた時はもっとキャラクターの顔ばかりになってしまっていました。限られたページ数のなかで大切なシーンだからここも入れなきゃとか、ここを外すのもったいないからとか、欲張りになってキャラを詰め込みすぎていたところがあったんです。

それで担当編集さんにチェックしていただいたときに、もっと余韻を入れていきましょうという話になって、そういうコマを入れました。

結果的に一気に漫画として読みやすくなり、自身の表現の幅も広がりました。これは完全に担当編集さんのおかげです。

それから意識的に描くようにして、背景や小物だけのシーンとか、セリフなしで表情を見せるシーンなども入れました。この作品はすごく切ないシーンも多いので、演出の効果が出ていればうれしいです。

『嘘から始まる恋の夏 -squall-』単行本発売記念インタビュー後編|漫画画像04

――コマ数も以前より増えた印象があります。

ろここ:たしかにコマ数は増えてるかもしれないですね。ボリュームのある内容だったので、取捨選択はしたんですけど、そのなかでもできるだけ入れたい部分が多かったのもあったと思います。

――4話で感じたことなんですが、深玲の目の表情がすこく細かく描かれていますよね。

ろここ:単純に目を描くのが好きっていうのもあるんですけど、過去の部分とか薫と出会って朗らかになったりとか、深玲はいろんな表情があると思います。それを瞳ひとつとっても、そこから未練とか悩みとかそういう思いが伝わってほしいなと思って書いた部分もあります。

薫がキョンシーのコスプレっていうのが本当にわかる!

――主要キャラクター以外でお気に入りのキャラクターはいますか?

Akeo:美術部の現実を突きつけられる子がかわいいですよね。あのリアルな感じが好きなんです。あの子で1本書ける。

ろここ:自分が美術系の高校に行っていて、私はデザイン系の大学を受験したんですけど、美大に行きたい子とかもいたので、個人的に親近感というか、わかるよって思いながら描きました。

Akeo:杏果は塩こうじさんがキャラデザを描いて、ろここ先生に描いていただいたんですよね。元のキャラデザは一迅社のオンラインショップで販売される特典のリーフレットに入ってるので、ぜひ見ていただきたいですね。

塩こうじ:杏果はせっかくなので、自分は描くのに時間がかかってしまうけど、ろここ先生なら上手く描けるだろうなって髪型にさせていただきました。前髪がパラッとしたシースルーバングとか。

ろここ:たしかに言われてみれば私、シースルーバング描くの好きかも。描きやすさも考慮してキャラデザしてくださって、ありがたいですね。

『嘘から始まる恋の夏 -squall-』単行本発売記念インタビュー後編|漫画画像03

――お気に入りのシーンはありますか?

Akeo:3話で薫と深玲が過ごした時間が凝縮されているところ。あとは、2話で薫が深玲に告白するシーンがいいなって思いますね。影の入り方とか深玲の表情とか、言葉がなくてもいろんなものが伝わってくるなっていう。

手のアップとか漫画ならではの表現で、ふたりのギャップとか心のすれ違いが見えて良かったと思います。

ろここ:私は3話のデートシーンが描いていて楽しかったので、めちゃくちゃお気に入りです。冬のシーンなので、冬服が描けたのもうれしかったです。デートシーンは雪がちょっと降ってたりして、息が白くなる感じとかもあるし、スケートでこけて「×」の絆創膏がついてるとか、お茶目なところも描けて楽しかったです。

塩こうじ:4話の最初で深玲が無言でタバコを吸ってるコマが好きで、すごい良い顔してるって思いながら読んでました。

あとは3話のデートにつながる流れがすごく好きで、そのなかでもハロウィンで仮装してるふたりが好きですね。そこで2コマ使ってるのが良いし、薫がキョンシーのコスプレっていうのが本当にわかる!ってなって。

ろここ:解釈が一致してうれしい!

『嘘から始まる恋の夏 -squall-』単行本発売記念インタビュー後編|漫画画像05

――最後に読者へのメッセージをいただけますか?

塩こうじ:漫画ならではの良さが本当につまった作品になっていると思うので、ぜひぜひお楽しみいただければと思います。

Akeo:ろここ先生を筆頭に、担当編集さん、百合姫編集部の方、出版に関わる方、なによりもこの作品見たいとクラウドファンディングのときから応援してくださった方々のおかげでコミカライズが実現しました。本当にありがとうございます。またこれからもたくさん応援していただけるとうれしいです。

なにより、ろここ先生が描いてくださった『嘘から始まる恋の夏-squall-』がエモくておもしろい作品になっているので、嘘だと思ったら買ってください!

ろここ:『嘘から始まる恋の夏-squall-』はAkeo先生、塩こうじ先生、担当編集様、作品作りに関わってくださったすべての方の力があって作ることができました。ひとりじゃ絶対に描けないです。そしてなにより応援してくださる読者のみなさまのおかげです。本当にありがとうございます。

この漫画は、原作ファンのみなさまに楽しんでいただきたいというのはもちろん、初めて『嘘から始まる恋の夏』に触れたという方にも楽しんでいただけるように作ったものなので、この漫画をきっかけに『嘘夏』のファンになっていただける方がいたらうれしいです。

読んでくださった方の心の残る作品になったらいいなと思っています。

また、この漫画だけじゃなく、これからも続いていく『嘘夏』を自分もいちファンとして応援していきたいと思います!

――ありがとうございました!

『嘘から始まる恋の夏 -squall-』単行本情報

『嘘から始まる恋の夏 -squall-』書影

『嘘から始まる恋の夏 -squall-』
発売日:2025年3月17日(月)

▼収録内容
・ろここ先生描き下ろしマンガ
・原作Akeo先生書き下ろし小説
・原作塩こうじ先生新規描き下ろしイラスト
・原作キャストコメント
 橘薫/CV:小市 眞琴
 霜月深玲/CV:松井 恵理子
 朝日花世/CV:芝崎 典子

【一迅社オンラインショップ】
▼有償特典
特典1:クリアカード(ポストカードサイズ)
特典2:塩こうじ先生描き下ろしアクリルスタンド

▼一迅社オンラインショップ限定購入特典
特典:キャラクター設定資料+書き下ろしSS掲載リーフレット
一迅社オンラインショップ リンク

『嘘から始まる恋の夏 -squall-』一迅社オンラインショップ特典

【メロンブックス】
▼限定版
描き下ろしアクリルスタンド+イラストカード付き
メロンブックス限定版 リンク

▼通常版
イラストカード付き
メロンブックス通常版 リンク

【アニメイト】
描き下ろしペーパー付き
アニメイト リンク

【まんが王 / ゲーマーズ / 書泉百合部 / COMIC ZIN 他】
描き下ろしペーパー付き (すべて一部店舗を除く)
まんが王 リンク
ゲーマーズ リンク
書泉百合部 リンク
COMIC ZIN リンク

『嘘から始まる恋の夏 -squall-』一ショップ特典
一迅社
¥1,430 (2025/04/13 02:53時点 | Amazon調べ)

『嘘から始まる恋の夏 -squall-』の画像はコミック百合姫編集部の使用許諾を得ています。

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