『推しのラブより恋のラブ ~ラブ・オア・ダイ~』はラブコメ系百合ビジュアルノベル。『推しのラブより恋のラブ』の続編だ。
晴れて結ばれたオタク・あくるとギャルの恋。「結婚したい」と意気込む恋にあくるが困惑しているうちに、恋の先輩・藍愛が急接近し、あくるの親友・志乃とともに物語をかき回していく。
前作のドタバタコメディの流れを引き継ぎつつ、お互いの愛情が溢れる様子を微笑ましく見守るファン向けの続編となっている。
本記事では『推しのラブより恋のラブ ~ラブ・オア・ダイ~』のあらすじやヒロインを紹介した後、ゲーム内容をレビューしていく。
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前作 『推しのラブより恋のラブ』レビューを読む
あらすじ
あくると恋が付き合いはじめてから1年。
あくるは帰宅直後、真剣な表情で「お願い、結婚したいの」と告げる。恋はもちろん快諾するが、あくるが結婚したかったのは推しキャラクターであるコヘイくんだった。


結婚を意識した恋は進路調査票に「第一希望 あくるのお嫁さん」と書いてしまう。あくるは真面目に考えるように諭すが、恋の気持ちは盛り上がったまま。
恋は明後日からインターンシップで先輩が働くエステサロンに行くという。
その先輩はあくるがかつて恋の恋人ではないかと疑った人。心配になったあくるは志乃を連れてエステサロンへ偵察に向かうのだった。


キャラクター紹介
速星 あくる (はやほし あくる)


ソーシャルゲーム『剣豪商西人折(ケンショー)』のコヘイくんを推すオタク。
帝都麻生ホテルのフロント係として勤務している。
愛情を全面に出す恋とは違い、内面に秘めるタイプ。
古舘 恋 (ふるたち れん)


金髪ギャル。学生。
猛プッシュの末、あくると付き合う。
進路の第一希望は「あくるのお嫁さん」
錦 志乃 (にしき しの)


あくるのオタ活仲間&同僚。帝都麻生ホテルのリネン係。
あくると恋にちょっかいを出して楽しみつつ、2人の関係を応援している。
宇堂 藍愛 (うどう あいら)


恋の先輩。現在はエステティシャンとして勤務。
おしとやかな立ち居振る舞いながら、恋のことになるとなにやら怪しい雰囲気が……?
レビュー
あくると恋のラブラブっぷりの前に苦戦する新キャラクター・藍愛
『推しのラブより恋のラブ ~ラブ・オア・ダイ~』は前作に引き続き、全体的にコメディタッチのシナリオだ。
恋はあくるへの気持ちを隠さず、好きアピールがいっぱいで微笑ましい。前作と同様にまっすぐ愛情を伝える姿には好感が持てる。
あくるは猪突猛進型の恋に押され気味。「結婚は人生の墓場だ」との先入観に囚われており、結婚には消極的だ。


あくるにとっては推し活が重要であり、結婚によって行動が制限されてしまうのでは?とも危惧もしている。だからといって、恋への愛情がないわけではなく、恥ずかしさから積極的になれないだけだ。
あくるがウジウジしているところを恋が強引に引っ張っていく様子は微笑ましい。状況をゆっくりと受け入れていくあくるをプレイヤーはニヤニヤしながら見守る、そんなストーリーだ。


結婚に消極的なあくるに火をつけるのが、恋の先輩・藍愛だ。彼女から”何か”を感じたあくるは恋のインターンシップ先を偵察に行き、勢いに任せて結婚することになってしまう。
問題はここから。藍愛のキャラクターが弱いのだ。彼女はいわゆる当て馬の役割をするが、賑やかしの程度の存在感しかない。


ときには強い言葉も使うが、そもそも恋に対する執着心が薄く、何がなんでも結婚を阻止してやる!という強い気持ちは感じられなかった。
藍愛が役柄に徹することができなかった要因は本シリーズのやさしい世界観だ。明るいラブコメのテーマから逸れないように、シナリオがコントロールされている。
結果として、藍愛の描き方が中途半端になり、シナリオ的にもキャラクター的にも報われない立ち位置になってしまった。
明るさのなかにも本気で略奪したいという強い思い、真剣みがあってもよかったのではないだろうか。でなければ、そのためにサブキャラ入りした藍愛が報われない。



ポンコツ具合もかわいいんだけど、印象が薄いのよね……。
主役級の活躍を見せる志乃がストーリーをグイグイ引っ張る
『推しのラブより恋のラブ ~ラブ・オア・ダイ~』は主にあくる視点で進行するが、ときおり別キャラクターの視点で話が進行する。
あくると恋の結婚を阻止するには彼女たちにバレないように行動するしかない。しかし、あくる視点でストーリーが進むと阻止しようとする側のストーリーが描けない。そこで生まれたのが志乃視点で語られるパートだ。
あくると恋を冷やかしつつ、藍愛の面倒も見ることになった志乃の活躍ぶりはめざましい。


単調に進んでしまいそうな結婚準備も志乃が愛のあるチャチャを入れることでギャグ度が高まり、あくるが志乃の作戦にまんまハマって振り回されるユーモラスなシーンを作り出している。
当て馬・藍愛のキャラクターの弱さを志乃がカバーした結果、ドタバタ劇が加速しながらエンディングを迎えられたのだ。



”推しラブ”のフィクサーは志乃で決まり!
大活躍する志乃だが、シリーズではその内面が描かれることは少なかった。あるエンディングでは、これまで明かされなかった志乃の心の内が描かれており、最後の最後で志乃にスポットライトが当たる素敵なシナリオだった。
透明感のあるかわいいイラストは健在、コミカルな音楽が追加に
『推しのラブより恋のラブ ~ラブ・オア・ダイ~』のキャラクターデザインは前作に引き続きDSマイル氏が担当。
淡い彩色で柔らかなタッチで描かれるキャラクターは魅力的だ。


オープニング曲『My Dear My Fave』も前作に引き続き鈴湯が担当。
ソリッドなベースからはじまる疾走感のあるポップソングだ。恋のかわいさがフィーチャーされたオープニング映像ともマッチしており、本作の世界観を巧みに表現している。



このオープニング映像で恋のかわいさが5割増しになるんだよねー!
BGMは前作の収録曲にオープニング曲を除く、3曲追加されている。
あくるが熱中しているゲーム『ケンショー』をイメージして作られたであろう和風テイストの「いざ参る!」は本作一番のギャグパートで流れるため、聞き返すと笑ってしまう。
システムは過不足なし、メニュー画面も分かりやすく改良
『推しのラブより恋のラブ ~ラブ・オア・ダイ~』のシステムは通常のノベルゲームと同様で、不足に感じるものはなかった。




セーブ・ロード | あり スロット数:90 |
クイック セーブ・ロード | あり |
オートモード | あり |
スキップ | あり |
BGM・音声 ボリューム | 変更可 キャラクター個別設定可 |
バックログ | あり |
前作では隠されていた各種メニューがウィンドウの右側にまとめて表示されるように変更されていた。少しごちゃついた印象はあるが、常時表示されていたほうがわかりやすい。


シナリオの視点が切り替わるタイミングではアイキャッチが出て、その後の会話ウィンドウもキャラクターの色に変更され、パッと見で分かるように配慮されていた。




クリアまでのプレイ時間は1時間
筆者のプレイ時間は1時間。
選択肢による分岐はあるが、その都度セーブしておけば他のエンディングを見るのもスムーズだ。
エクストラモードには以下が収録されており、進捗によって埋まっていく。
- CG鑑賞(10枚+立ち絵4枚&ボイスコメント、アペンドで+5枚、OPムービー)
- 背景鑑賞(15枚)
- BGM鑑賞(15曲)※OP/EDはなし
- シーン鑑賞(アペンドで追加)
Steam版を購入した場合はアペンドパッチを購入することも可能だ。(他PC版の場合は収録済)
総合評価



総評:良い
3/5
『推しのラブより恋のラブ ~ラブ・オア・ダイ~』はラブコメ百合ビジュアルノベルだ。
付き合いはじめて1年が経った2人がドタバタしながら結婚に向かう様子がコミカルに描かれている。
強引に突き進みつつも、あくるを思いやる恋、徐々に受け入れていくあくる。お互いへの思いやりを感じさせる描写に心が和んだ。
志乃が大活躍する一方で、新キャラクター藍愛の影は薄く、ストーリーをかき回す役目を果たしたとは言い難い。結果としてストーリーの起伏には物足りなさを感じた。
シリアス展開が苦手で、明るいラブコメ百合を好む人にはおすすめできるタイトルだ。
- わかりやすく、甘いシナリオ
- やわらかい雰囲気のイラスト
- 活用できなかった新キャラクター(藍愛)
- 変化に乏しいストーリー展開



続編と言えどファンディスク的な立ち位置だから、先に前作をプレイしておこう!
『推しのラブより恋のラブ ~ラブ・オア・ダイ~』
- 対応機種:Nintendo Switch、PC
- 発売日:2021年7月30日
- 発売元:SukeraSomero、HUBLOTS(Steam)、mirai works(Steam)
- 開発元:SukeraSomero
- ジャンル:ドタバタ王道百合コメディ
- シナリオ:オグリアヤ
- 原画・キャラクターデザイン:DSマイル
- 筆者プレイ時間:1時間(全エンディング)
- レビュー時のプレイ機種:PC(クラウドファンディング支援者限定ver.)
※2022年4月12日時点
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