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『リルヤとナツカの純白な嘘』評価・レビュー|過去を乗り越え、未来への一歩を踏み出す百合(ガールズラブ)ミステリー【感想】PR

リルヤとナツカの純白な嘘

『リルヤとナツカの純白な嘘』は百合ミステリービジュアルノベルだ。

車椅子に乗る盲目の画家・リルヤは、絵の制作依頼を受ける。助手の夏夏(なつか)はリルヤの目となり、足となって、見たものや感じたことをリルヤに伝える。そこからインスピレーションを得て、リルヤは依頼人の人生を変える絵を描く。

作中では女性同士の恋愛も描かれており、ガールズラブとしての側面もある作品だ。

本記事では『リルヤとナツカの純白な嘘』のあらすじや登場人物を紹介し、ゲーム内容をくわしくレビューしていく。

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執筆者

えむ

FLOWERSシリーズで百合に目覚めた百合ライター。プレイヤー目線から一歩踏み込んだレビューをモットーに記事を執筆。百合ゲームの情報収集と発信の日々を送っている。苦味のある作品が好み。

X (旧Twitter) > 詳しいプロフィール >

執筆者

えむ

FLOWERSシリーズで百合に目覚めた百合ライター。プレイヤー目線から一歩踏み込んだレビューをモットーに記事を執筆。百合ゲームの情報収集と発信の日々を送っている。苦味のある作品が好み。

X (旧Twitter) 詳しいプロフィール

あらすじ

リルヤはネットで噂の天才画家。権力や金銭には興味がなく、自分の琴線に触れるか否かで依頼を受けている。

ある日、結婚を控えた優からの依頼で、新居に飾る「思い出の場所の絵」を描くことになる。

『リルヤとナツカの純白な嘘』レビュー|01

リルヤは助手の夏夏を優の思い出の地に派遣し、夏夏が見たものや感じたことを伝えてもらう。

『リルヤとナツカの純白な嘘』レビュー|02

そうして描かれた作品は依頼人の心を大きく動かしていく。

主な登場人物

リルヤ・メリ (CV.高柳 知葉)

『リルヤとナツカの純白な嘘』レビュー|リルヤ・メリ
リルヤ・メリ (CV.高柳 知葉)

盲目の画家。

10代だが立ち居振る舞いが大人びている。

ヨーロッパの小国の王族で過保護な家族と離れるため、祖母の故郷・日本で暮らしている。

何事も論理的に考えるたちで、口癖は「合理的に考えて」。

空木うつぎ 夏夏なつか (CV.伊駒 ゆりえ)

『リルヤとナツカの純白な嘘』レビュー|空木夏夏
空木 夏夏 (CV.伊駒 ゆりえ)

リルヤの家に住み込みで働く少女。

リルヤの助手として、絵を描くインスピレーションをもたらすために日々奮闘している。

底抜けに明るく、ポジティブ。

春日衣かすがい ゆう (CV.田中 美海)

『リルヤとナツカの純白な嘘』レビュー|春日衣優
春日衣 優 (CV.田中 美海)

都内の製菓会社で働く女性。

自分で作ったお菓子をソーシャルメディアに投稿している。

結婚を控え、新居に飾る絵をリルヤに依頼した。

イヌイ・サーリヤルヴィ (CV.青山 吉能)

『リルヤとナツカの純白な嘘』レビュー|イヌイ・サーリヤルヴィ
イヌイ・サーリヤルヴィ (CV.青山 吉能)

リルヤの出身王家と繋がりを持つリサーチ会社の職員。

気配りができる大人の女性。

この先、一部ネタバレあり。

緻密に組み立てられたミステリー

本作の主軸はミステリーだ。

ふたりは依頼された絵を完成させるため、夏夏が依頼人に聞き取りをしたり、現地に出向いて絵を描くための情報を集めていく。その過程で依頼人が抱えるトラウマや秘密に触れる。

リルヤは自分が集めた情報と夏夏の言葉から受けるインスピレーションを基にして絵を描き、それが依頼人の人生を変えるきっかけとなる。

『リルヤとナツカの純白な嘘』レビュー|07
リルヤは夏夏と頻繁に通話する
『リルヤとナツカの純白な嘘』レビュー|14
依頼人に話を聞きに行ったり
『リルヤとナツカの純白な嘘』レビュー|13
依頼人の制服を着てみることも

章ごとに新しい依頼人が現れ、トラウマから解放されるまでが描かれるテレビドラマのような構成を取っている。各章の終わりで明かされる「解答」は一応の納得感があるものだったが、筆者にはどうもスッキリしない部分もあった。

このままモヤモヤしたまま終わるのかと思いきや、終盤に向けて夏夏の過去が徐々に明らかになってくると同時にストーリーが大きく展開し、これまでの章は種まきであったことを思い知る。

エンディングに向かって伏線が次々と回収される怒濤の展開は爽快だ。途中で違和感を覚えた出来事はここにつながっていたのか!の連続で、すべての謎が解明された後には”してやられた”と感じた。キレイに積み上げられたパズルのように美しいミステリーだった。

えむ

何気ない一言に意味があるパターン、大好物です!

逃げてきた過去と向き合い、乗り越えた先で未来をつかむ愛の物語

本作には肉体的・精神的な暴力や自傷行為などのテーマも含まれています。

はじめは殺人事件をテーマにしていない点から本作を「日常の謎」的なミステリーだと位置づけたが、それは正しくなかった。

ストーリーが進むなかで見えてきたのは、登場するキャラクターたちが自分の生死を分けるような重大な問題と向き合う姿だった。現状の彼女たちは身体的な死ではなくとも、心を殺された状態と言ってもいい。

『リルヤとナツカの純白な嘘』レビュー|09
『リルヤとナツカの純白な嘘』レビュー|10

依頼人は完成された絵を目の前にして、過去と決別し、未来への一歩を踏み出す。そこに至るまでには強い痛みを感じながら、ツラい記憶を乗り越えなければならない。

キャラクターの心情を慮ると心がズンと重くなるシーンもあるが、過去と向き合い、トラウマを乗り越えて前向きに生きる姿を見ると気持ちが明るくなる。

百合の表現については、女性同士の恋愛を真摯に描いており、キャラクターたちが乗り越える問題にも恋心や愛情が大きく関わってくる。作中において、同性愛が特別視されることはなく、当たり前のこととして扱われている。百合やガールズラブ好きも安心して楽しめる作品だ。

『リルヤとナツカの純白な嘘』レビュー|11
『リルヤとナツカの純白な嘘』レビュー|12
えむ

女性しか登場しないと聞いていたけど、予想以上にガッツリガールズラブだった!

地の文はほぼなし、セリフが夏夏の表現力を引き出す

本作は地の文が少なく、ほとんどが会話で構成されている。

会話の多さはリルヤの視覚障害が関わっている。目の見えないリルヤのために夏夏が言葉を尽くして状況を説明するため、物語がセリフを中心に進んでいく。

夏夏が見たものや感じたものをどのように伝えているかに着目するとその表現力に驚く。

青空を見ると「この世界に、空とわたしと優さんしかいないような錯覚に陥りそうです」と伝え、山を見れば「まるで色が変わる魔法のドレスみたいです!(中略)もし、山が女の人だったら、すごいおしゃれさんだろうな~って思います」と語る。

『リルヤとナツカの純白な嘘』レビュー|08

夏夏はリルヤと出会う前にウェブラジオをやっていたこともあって、言葉がまっすぐで、誰にでも伝わるわかりやすい表現を選んでいる。独特の感性と相まって、夏夏オリジナルの表現が多く登場する。

読み進めるうちに、夏夏は次にどんな言葉を使うのだろうとワクワクするし、そこからインスピレーションを受けたリルヤが描く絵が楽しみになる。

すみずみまで繊細で美しいイラスト

美麗なイラストも本作の魅力のひとつだ。

彩色のキレイさや、瞳の表現、表情の豊かさなどによってキャラクターが生き生きと描かれている。クッキリした立ち絵と淡く儚いイベントCGは表現方法に差があり、新たな絵を見るのが楽しみだった。

『リルヤとナツカの純白な嘘』レビュー|15
『リルヤとナツカの純白な嘘』レビュー|16

夏夏のパーカーに見られるように、服の陰影やシワが繊細に描かれており、質感が立体的に伝わってくる。キャラクターたちの衣装をじっくりと眺めるのもおもしろい。

『リルヤとナツカの純白な嘘』レビュー|17

音楽も作品を盛り上げている。

夏夏のハツラツさを表現したように、聞いているだけで笑顔になれる楽曲もあれば、重苦しさや切なさを感じさせる曲もあり、各シーンをドラマチックに彩っている。

声優たちの演技にも心を引かれた。リルヤ役の高柳知葉さんの落ち着いた声色は聞いていて安心感がある。夏夏役の伊駒ゆりえさんは夏夏のイメージどおりで、喜怒哀楽を大胆に表現している。いつも元気いっぱいの夏夏だが、ボイスは耳当たりがよく、うるさく感じない絶妙なラインを保っている。ふたりの静と動のバランスも良かった。

特に印象に残ったのがイヌイ役の青山吉能さん。イヌイはリルヤ付きのリサーチャーで、仕事を完璧にこなす女性だ。彼女は登場するとその場をすべて支配する圧倒的な存在感を見せる。その空気を作り出すのが青山さんの演技で、クリア後も忘れられないキャラクターになった。

『リルヤとナツカの純白な嘘』レビュー|18

プレイ時間は18時間

本作には選択肢がなく、クリアまでは一本道だ。

前述のとおり、地の文がほとんどないため、筆者はほとんどオートモードでボイスを聞きながらプレイした。クリア時点でのプレイ時間は18時間だった。テキストを読むことだけに集中すれば半分ぐらいの時間でクリアできるだろう。

序章+4章の計5章構成で各章ともボリュームがある。各章のストーリーは濃密で、満足感があった。

イベントCGが閲覧できる「アルバム」、BGMが聞ける「ミュージック」はエクストラメニューに含まれており、クリア後に開放される。

総合評価

『リルヤとナツカの純白な嘘』は百合ミステリービジュアルノベルだ。

盲目の画家・リルヤと助手の夏夏は、絵によって依頼人たちを過去から解放していく。各章で問題が解決したあとに残った違和感は終盤に向けて怒濤のように回収される伏線であり、エンディングを迎えたときにはカタルシスがあった。

依頼人たちだけではなく、リルヤや夏夏が抱えていた過去と向き合い、痛みを感じながらも乗り越えていく姿は勇ましい。女性同士の恋愛・愛情を真摯に描いており、百合やガールズラブが好きなプレイヤーも満足できる。

繊細な筆致で描かれたビジュアル、夏夏の多彩で瑞々しい言葉選びは美しく、目でも耳でも楽しめる。

ミステリーをベースにした百合作品を好むプレイヤーにおすすめしたい作品だ。

グッドポイント
  • パズルのように積み上げられたミステリー
  • 苦みのあるシナリオ
  • 美麗なイラストと夏夏の言葉選び
ウィークポイント
  • 特になし
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『リルヤとナツカの純白な嘘』

  • 対応機種:PC
  • 発売日:2024年7月25日
  • 発売元:ブシロード
  • 開発元:フロントウイング
  • ジャンル:ミステリーアドベンチャー
  • 企画・シナリオ:浅生詠
  • キャラクターデザイン・原画:切符
  • 筆者プレイ時間:18時間
  • レビュー時のプレイ機種:PC

※2024年8月12日時点

©Frontwing ©bushiroad

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