2023年3月、私用で名古屋を訪れ、ついでに三重県桑名市まで足を伸ばして六華苑を見てきた。
六華苑は百合ゲームの名作『FLOWERS』に登場する寄宿舎のモデルになったと言われる建築物だ。せっかくなら現地を訪れ、聖アングレカム学院の生徒が見る風景を確かめてみたい!筆者は列車に乗り、桑名へと向かった。
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六華苑とは?
六華苑は三重県桑名市にある洋館と和風建築からなる建造物群。当地の実業家・二代諸戸清六の住まいとして、大正2年(1913年)に竣工した。洋館部分は鹿鳴館などを手がけたイギリス人建築家ジョサイア・コンドルによる設計で、平成9年に国の重要文化財に指定されている。
私は『FLOWERS』の聖地巡礼で訪れたけど、他にも多くの作品の撮影場所にもなっているみたい。
2023年3月に公開したばかりの『わたしの幸せな結婚』劇場版(非百合)にも登場しているのよ。
名古屋駅から六華苑まで
行きはJR名古屋駅から快速ときに乗車。約30分で最初の停車駅である桑名に到着。今回はたまたま快速ときに乗車したが、それ以外の種別のJR関西本線や近鉄も使用できる。
改札を出て、東口を出ると左手にレトロなビル「桑名メイト」が見える。現在は閉館となっており、今後、解体されるそうだ。
駅前のこんな目立つところに廃ビルがあるのは物悲しい感じよね……。
桑名メイトを左手に、駅前ビル「サンファーレ」を正面に見て、左に折れて進み、丁字路(有楽町交差点)を右へ。大通り(八間通り)に出る。
有楽町交差点を約500m直進、コスモ石油の前を左折する。
再び500m直進。途中で左手に大きなスーパー「バロー」が見える。通り過ぎてすぐ右折する。
このあたりも「諸戸」家が関わる企業の看板が散見されたわね。
進んでいくと右手に蔵が見えてくる。
さらに進むと右手にレストランRoccaが見える。これを右折すると六華苑の入口にたどり着く。
結婚披露宴みたいなのやってた!
この先はすぐに揖斐川(いびがわ)に面していて、伊勢湾へと注ぐ美しい川面の景色が見渡せたわ。
FLOWERS寄宿舎の面影を探して
六華苑の入口となる長屋門は和風の佇まい。受付で入苑料(2023年3月当時460円)を支払って、苑内へ。
長屋門をくぐるとすぐに案内図がある。
貴重な建築物を傷つけるおそれのある大きな手荷物やカバンは、入り口にあるロッカーに預けるなどして持ち込みには配慮してね!
外観
案内図を通り過ぎてすぐ、洋館が見えてくる。
洋館の前までやってくると壁面のブルーが目を引いた。
『FLOWERS』の寄宿舎外観のモデルとなった角度で洋館を撮影。見比べるとイラストには右奥に見える円塔部分はなく、変更が加えられていることが分かる。
内玄関棟から建物内へ入る。
内玄関棟の受付ではポストカードやクリアファイルを販売している。
ロビー
洋館1階ホールに印象的な階段がある。これも『FLOWERS』の背景イラストのモデルになっている場所のひとつ。階段を降りてすぐところに小部屋が2つ設けられ、手前から電話室、トイレになっている。
階段を上ると踏板がギシギシと音を立てる。深夜に聞こえたら恐怖を感じそうだ。
手すりのハート模様が可愛い!
ここの階段は将来的には強度を保つため、補修工事が必要かも。自由に見学できるのも今のうちかもしれないわね。
廊下
洋館2階の居間を通り抜けてサンルームへ向かう。『FLOWERS』では廊下として使われている場所だ。訪れた昼どきは日が入ってきて、ぽかぽかと暖かかった。
端にはロッキングチェアが置かれていた。実際に座ることはできないが、午後のまどろみを味わうには最適だろう。
おわりに
この記事では主に『FLOWERS』の寄宿舎のモデルとなったであろう場所を紹介した。洋館以外の和館部分や蔵、離れなどの見どころも多く、建築物としても興味深いところがあった。
洋館と和館の境目。ここから急に分かれていておもしろい。
江戸時代からあった豪商の屋敷に洋館部分をつなげて増築したもので、こんなふうに完全につながった作りはめずらしいらしいわね。
洋館、和館併設か、洋館の一部に和室があるっていうのが普通らしいよ。
和館にある欄間の装飾や部屋から見える庭園も美しかった(庭園にも立ち入って自由に散策することができる)。
この時代の建築に興味がある人は、ぜひ一度訪れてみてほしい。
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